過水系抗ウイルス剤期待 高付加価値サービス提供

 アークサーダジャパンは、バイオサイド分野において顧客に付加価値をもたらす製品・サービスの提供に力を入れている。各国の安全性などに関する規制を順守しながら、顧客が求める性能を実現する薬剤や処方を提案できるのが強み。業務用途では、過酸化水素系の抗ウイルス剤が低濃度で高い効果を発揮する新たな知見が得られた。工業用途では米トロイの合併によって製品ポートフォリオが拡充されており、防藻・防カビなどで新たな展開を目指す。

 アークサーダはグループとして、予防・保護を意味する「PRESERVATION(プリザベーション)」をコンセプトに事業展開する方針を打ち出した。バイオサイド分野では米トロイを合併するなど成長路線を鮮明にしている。アークサーダジャパンでは豊富な製品ラインアップ、外資系の強みを生かした国内外の規制への対応力を生かして顧客満足度を高め需要を取り込んでいく。

 一般用途・業務用途で有望なのが過酸化水素系抗ウイルス剤「NUGEN(ニュージェン)EHP」。環境配慮型の高生分解性であり高濃度の有機物の汚れに対しても活性を維持するのが特徴。手術医療のガイドラインに記載のある既存の除菌剤に比べて低濃度で抗ウイルス作用を持つことを明らかにした。日本防菌防黴学会の年次大会で成果を発表しており、外部評価が一部で始まっている。

 工業用途では、米トロイの合併によって防カビ剤のIPBCをはじめとして製品ポートフォリオが拡充されるとともに、アジアでは中国に加えて東南アジアへの市場展開を強化できる。今後タイの研究所の評価設備を活用して外壁向け塗料に防藻・防カビ効果を付与するなどの取り組みを行っていく。また、安全性とコストの観点から外壁塗料向け有機系原体の徐放を可能にするカプセル化技術の開発にも力を入れており、国内建材市場に展開していく。

(化学工業日報 2023年2月20日号)